八郎太郎は十和田湖の主として、長い間静かに暮らしていました。
そこにあるとき,南祖坊という修験者が十和田湖へやってきました。南祖坊はここを永住の地とすることにし, 読経を始めました。ところが,十和田湖には八郎太郎という主がいました。突然,南祖坊の目の前で, 静まり返っていた湖から,竜巻とともに,八つの頭, 十六の角を振り立てた蛇体が天を衝くように突っ立ちました。南祖坊と八郎太郎の間でいさかいが始まりました。神のお告げでここが自分の住みかと言う南祖坊と、ずっとここで暮らしてきたという八郎太郎は,互いに譲らず,ついに激しい戦いになりました。八郎太郎と南祖坊は,雲に乗り, 互いの術を次々に用いて七日七晩戦い続けました。八郎太郎はこの戦いに敗れ大湯川沿いに敗走しました。
秋田では「八郎太郎」と呼んでいますが、青森では「八之太郎」と呼んでいます。「八之太郎と南祖坊」は2000年の青森ネブタの題材に取り上げられました。
南祖坊は十和田湖畔に青龍権現を祀り、みずから別当になりました。この青龍権現が魚族を忌み嫌うため十和田湖には魚がいないという伝説が作られました。この伝説に挑み、ヒメマスの養殖に成功したのが和井内貞行です。
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