♪白い野バラを捧げる僕に、君の瞳が明るく笑う♪・・・・・・
ここまで歌って気読(きよみ)は、本当にこんなことがあるのだろうかと思った。
君の瞳が明るく笑う・・・・何と素敵な事なんだろう。
そして気読の頭にはその僕が気読自身で、君というのがいつも会う彼女の
ように思えて来た。
しかしそんな夢は直ぐに壊れてしまった。
だめだ、そんなこと、なるはずが無い。
「逆意(さかい)気読(きよみ)は高校1年、毎日田舎?の駅(K駅)から、列車で都会?(Y市)の高校へ通っている。
そんな気読が彼女の事を意識し始めたのは、1年の2学期も終わろうとしていた頃だった。
帰りの列車で、気読はいつもの中頃では無く、前から2両目に友達と一緒に乗った。途中のY駅で5分の停車時間を半分位過ぎた時、二人連れの女学生が乗ってきて、少し先の方に座った。
一人の顔が気読を強く引き付けた。
素敵な女性だ、学校はどこなんだろう?
気読が乗車するKY駅で会ったことがあるような気がする。
彼女はこの駅で乗り降りするんだろうか?
気読は一つ前のKY駅で降りて、高校に通っている。
直ぐこのように考えるのは、彼女がもう彼女が自分と連れ添って歩いている
姿を思い描いているからであった。
小さい、かわいい顔をしている。
あどけない丸顔、1年生だと良いんだけれど。
どこから通っているんだろう?
その日から、気読の頭には、いつも彼女のことが浮かんでくるのであった。
あんな女性と友達になれたら・・・・・と。
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