三月期、高校一年の三月期、気読は自分のカバンと彼女のカバンを見比べて、彼女は二年生なんではないかと思った。
彼女のかばんは、1年生のような真新しさは無く、2年生の物のように見えた。
1年生とすれば、中学校の同窓生には居なかったような気がする。
K駅から乗車する高校生には複数の中学校出身者がいるので、同学年だと
しても同窓生とは限らない。
しかし、そんな気読の期待も彼女が開いていた教科書によって、潰されてしまった。世界史の教科書だった。
彼女は二年生なのだ。こんなに可憐な顔をしているのに。
でも、かまうもんか、年上でも。
気読は自分の心が変わらないことを確かめた。
気読が中学校の同級会で母校に行った時、気読よりも1年上のクラス
の同級会に彼女が出席しているのを目撃した。
これで、彼女が高校二年生であることが確実になった。
でも、同じ中学校出身だった。
同級会に出席した彼女は、通学の時の制服のコートでは無く、個性のある鮮やかな私服のコートを着用していた。
気読は、この同級会で、彼女には近寄りがたいような、そんな感じがした。
気読は、同じクラスの女性は、全く眼中に無かった。
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