帰りのK駅で、前を歩いて行く由梨子の姿を見たとき、気読は「後をつけよう」
と思った。
由梨子はいつものように友達と二人連れで、黙って歩いていた。
気読は後ろを振り返り、誰も見ていないことを確認して、二人の後をつけ始めた。
探偵きどりで、尾行を続けている気読は何か言い知れない気持ちに襲われた・・・僕はなんてことをしているんだろう・・・。
十分くらいで、最初の十字路につくと、二人は右と左に分かれた。
気読は勿論、右に行った由梨子の後をつけて行った。
少し歩くと、彼女はまた右に曲がった。
気読は少し間隔をあけて、右に曲がったが、由梨子の姿はもう無かった。
彼女の家はこの辺なんだな、今日はここまでにしよう。
大体分かっただけでも大きな収穫だ。
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